進学ではなく「働く」ことを選んだ高卒者にとって、土木の仕事は身近で現実的な選択肢のひとつです。けれども、「きつい」「汚れる」「将来が見えない」といったネガティブなイメージが先行し、敬遠されがちなのも事実。そんな中であえて土木の道を選んだ人たちは、本当に“勝ち組”といえるのでしょうか。
ここ数年で、若い作業員の間に「地に足のついた安定感」や「手に職をつけられる安心感」から、あえて土木業界を志す動きが広がっています。手取りの安定性や、資格によるステップアップが明確な点など、表面的なイメージとは異なる側面も見えてきました。
本記事では、高卒で土木作業員として働き始めた人たちの実際のキャリアや収入の変化に焦点をあて、そのリアルな姿を見ていきます。表層的な「きつそう」という印象だけでなく、働くことで得られるものにも目を向けていきましょう。
土木作業員の仕事とは?1日の流れと役割を具体的に解説
土木作業員の仕事と聞いて、重いものを運ぶ、汗だくで働く、そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。確かに体を使う場面は少なくありませんが、実際の現場では役割が分かれており、仕事内容は多岐にわたります。ここでは、高卒で入職した作業員が携わることの多い業務と、現場の1日の流れを具体的に見ていきます。
朝は7時半〜8時頃に現場へ集合し、朝礼と安全確認からスタートします。その後は担当ごとに分かれ、資材の運搬、掘削、型枠の組立、コンクリート打設、重機誘導などを行います。最初は先輩の補助的な作業が中心ですが、道具の扱いや作業手順を覚えていくことで、徐々に作業の幅が広がっていきます。
昼食を挟み、午後も同様の作業が続きますが、夏場は熱中症対策で休憩を多めに取ることもあります。17時前後には片付けと終礼が行われ、1日が終了します。公共工事が多い場合は、原則として土日休みで残業も少なめというケースもあり、建設業の中では比較的規則的な働き方です。
また、現場によっては測量や図面の読み取りなどを任されることもあり、単純作業ばかりではない点も見落とせません。こうした実務経験を積み重ねることで、職長や現場監督、施工管理などの上位職への道も開けていきます。作業員はあくまでスタート地点。「体を動かすだけ」ではない土木の世界が、ここにはあります。
高卒土木作業員の年収水準──初年度からベテランまでの推移
土木作業員の収入は「年収300万円前後で頭打ち」といったイメージが残っているかもしれません。しかし実際には、経験や資格、所属企業の規模によって年収に大きな開きがあります。特に高卒でこの業界に入った場合、最初は控えめなスタートでも、着実に年収が伸びていく構造があるのです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、建設業の中でも土木系作業員の初任給は月18〜22万円ほど。ボーナスや諸手当を含めると、1年目の年収は250万〜300万円前後が一般的です。ここから2〜3年で現場に慣れ、施工経験を積んでいくことで、年収は350万円、400万円台と上昇していきます。
また、技能講習や国家資格(たとえば土木施工管理技士)を取得することで、作業員から職長や現場監督といったポジションへと昇格し、500万円以上の年収を得る例も珍しくありません。特に中小企業では、若手に早くからチャンスを与える傾向が強く、20代で職長を任されるケースもあります。
さらに、地方自治体の公共工事を多く手掛ける会社では、安定した受注と賞与支給が続くため、年収のブレが少ないという利点もあります。福利厚生や昇給制度が整っている企業に就職すれば、高卒からでも長く安定した収入を得ることが可能です。
単純に「高卒だから低収入」と決めつけるのではなく、業界の構造や昇給要素に目を向けることで、土木作業員という職のポテンシャルが見えてきます。
キャリアアップは可能?資格取得・職長昇進で変わる未来
土木作業員というと「ずっと現場で体を動かす仕事」というイメージが根強いですが、実際には明確なキャリアアップの道があります。特に高卒で現場に入った場合、20代前半から実務経験を積めることが大きな強みとなり、早期に昇進・昇給を目指せる環境が整っています。
まず、多くの企業が推奨しているのが「技能講習」の受講です。小型車両系建設機械や玉掛け、足場の組立など、必要な資格を一つひとつ取得していくことで、担当できる作業の幅が広がり、現場での信頼も高まります。資格手当が毎月支給されるケースもあり、収入アップにも直結します。
さらに大きな転機となるのが「土木施工管理技士」など国家資格の取得です。この資格を取得すれば、現場の管理者や職長、ゆくゆくは施工管理職への道が開けます。作業だけでなく、人員配置や工程の調整、安全管理まで任される立場となり、年収も一気に上昇します。実際に、20代後半で現場を束ねる職長として活躍している人も珍しくありません。
キャリアの分かれ道は、経験年数だけでなく「どのタイミングでどう動くか」にあります。何もせずに年数だけを重ねても、収入は大きく伸びませんが、早いうちから資格取得に取り組み、現場で積極的に動くことで評価が上がり、役職や給与に反映されていきます。
「作業員止まり」ではなく、自分の意志と行動次第で道が開ける――それが今の土木業界の姿です。体力勝負の職種である一方で、知識と責任を身につけた者に対して、しっかりと報酬が返ってくる構造が確立されています。
勝ち組になる人の共通点:高卒でも年収アップする働き方とは
同じように高卒で土木業界に入っても、数年後には年収に大きな差がついているケースは少なくありません。体力や器用さだけでなく、「どう働くか」によって、収入も評価も大きく変わってくるのがこの業界の特徴です。
まずひとつは、現場での姿勢です。言われたことだけをこなすのではなく、自分から手を挙げて動ける人は、早い段階で信頼を得てチャンスを与えられます。特に小規模な現場や会社では、積極性がそのまま昇進に直結する場面も多く、20代前半で職長補佐や材料管理を任されることもあります。
次に重要なのが「資格取得とセットで行動を変えること」。講習を受けただけでは変化は起きません。新しい資格を取ったら、必ず現場でそのスキルを活かし、自ら「やります」と動いていくことで周囲の評価が変わってきます。
また、会社選びの段階で「若手の育成に力を入れているか」「資格取得を支援してくれるか」といった視点を持つことも重要です。たとえば、公共工事を主に扱っている企業は年間を通して安定して仕事があり、賞与や昇給制度が整っている傾向にあります。福利厚生が整っていることで、長く働きながら収入を積み上げていける環境になります。
そして何より大切なのは「続ける力」です。最初は誰でも初心者。失敗もあるなかで、一つずつ仕事を覚え、信頼を得ていく過程こそが評価につながります。結局のところ、勝ち組と呼ばれる人たちは、特別な才能よりも「地道に成長を重ねられる人」であることが多いのです。
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「土木=きつい」は本当か?続ける人と辞める人の違いから見る適性
「きつい」「汚れる」「危ない」──土木作業員の仕事には、そんなイメージが根強くあります。確かに、屋外での作業が中心で、夏の暑さや冬の寒さは避けられません。ただ、それだけで辞めてしまう人ばかりではないのが現実です。むしろ長く続けている人たちには、共通する“向いている要素”があります。
一つは、日々の小さな変化や手応えを楽しめること。昨日できなかった作業が今日はできた、図面通りに現場が形になっていく──そうした「積み重ね」に価値を感じられる人は、この仕事に向いています。また、チームでの協力が欠かせない職場環境の中で、周囲と円滑にやり取りできる人は、信頼を得て働きやすくなります。
一方で、「指示がないと動けない」「外の環境がどうしても苦手」といったタイプには、長期的には厳しく感じるかもしれません。だからこそ、現場見学や体験を通じて、まずは自分に合うかを確かめることが重要です。
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